世界の流行性角結膜炎の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の流行性角結膜炎の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Epidemic Keratoconjunctivitis Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、流行性角結膜炎(Epidemic Keratoconjunctivitis:EKC)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。EKCは主としてヒトアデノウイルスによって引き起こされる感染力の非常に強いウイルス性眼感染症であり、結膜だけでなく角膜にも炎症を生じる点が特徴である。調査会社は、アデノウイルスが世界のウイルス性結膜炎の約65~90%を占めるという報告を背景に、EKCが地域社会、家庭、学校、職場、医療機関、とりわけ眼科診療環境で集団発生を起こし得る重要な感染症であると位置づけている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間として、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場における有病状況、年齢、性別、ウイルス型、診断患者数などを分析している。
EKCは、感染者の眼脂や涙液などの分泌物との直接接触、汚染された手指や物品、医療器具などを介して伝播する。特に眼科診療では、検査機器、点眼容器、接触器具などが十分に消毒されない場合、複数患者へ短期間に感染が広がる可能性がある。
症状としては、結膜充血、水様性眼脂、羞明、かすみ目などが挙げられる。重症例では角膜病変が加わるため、単純な結膜炎よりも視機能への影響が大きくなり得る。
資料では、病期が急性期、亜急性期、慢性期に分かれるとされる。多くは数週間で改善するものの、一部では角膜混濁などに伴う視覚症状が長引く可能性がある。
ウイルス血清型としては、8型、19型、37型が大規模集団発生や急速な地域伝播と特に関連するとされる。
ただし、今回の資料では血清型別の発症率や患者数は示されていないため、8型、19型、37型のどれが最も多いかを定量的に比較することはできない。
疫学的には、Maheshver Shunmugamらの2025年報告として、アデノウイルスが世界のウイルス性結膜炎の約65~90%を占めるとされる。
ここで重要なのは、この65~90%がEKCそのものの一般人口有病率ではない点である。
これは「ウイルス性結膜炎と診断された患者のうち、アデノウイルスが原因である割合」であり、一般人口の65~90%がEKCになるという意味ではない。
さらに、アデノウイルス性結膜炎のすべてがEKCであるとも限らない。
したがって、「ウイルス性結膜炎の65~90%がアデノウイルス」と「EKCの患者数」は区別して解釈する必要がある。
北インドの病院ベース研究では、2,876人の患者中387例がEKCで、有病割合は13.45%と報告されている。
この387÷2,876は約13.45%となるため、数値上は整合する。
ただし、この13.45%は一般人口有病率ではなく、特定病院を受診した患者集団における割合である。
したがって、「北インド住民の13.45%がEKC」と解釈することはできない。
この研究の平均年齢は30.69歳で、最年少3か月、最高齢71歳とされる。
この幅広い年齢分布から、EKCが乳児から高齢者まであらゆる年齢層に発症し得ることが示される。
一方、平均年齢30.69歳という数字だけから、30歳前後が世界的な発症ピークであると結論づけることはできない。これは特定のアウトブレイク・病院コホートの平均値であるためである。
同研究では男性70.8%、女性29.2%で、2023年の集団発生時には男性患者が多かった。
ただし、これも特定地域・特定アウトブレイクの患者構成であり、EKCそのものに普遍的な男性生物学的高リスクがあると断定するのは慎重である。
職業曝露、受診行動、地域社会での接触機会、アウトブレイク発生場所などが男女差に影響していた可能性があるが、今回の資料ではその原因は示されていない。
したがって、「男性に多い」という所見は今回の北インド集団発生における患者構成として理解するのが適切である。
英国については、イングランドの呼吸器検体におけるアデノウイルス陽性率が1.7%、5歳未満では最大9.9%に達したとされる。
しかし、このデータはEKCの疫学指標ではない。
これは呼吸器検体中のアデノウイルス陽性率であり、眼感染としてのEKC発症率・有病率とは直接対応しない。
したがって、イングランドのEKC有病率が1.7%、5歳未満で9.9%という意味ではない。
このデータから言えるのは、英国人口、とくに小児でアデノウイルスが循環していることを示す間接的背景情報にとどまる。
このように、今回の資料には眼感染症としてのEKCデータと、呼吸器アデノウイルス陽性データが混在しており、分母と臨床病型を明確に区別する必要がある。
米国では、ロサンゼルスの単一眼科クリニックに関連して17例のEKC集団発生が確認されたとされる。
感染伝播には眼科器具の不十分な消毒や汚染点眼薬が関与していた。
この17例は米国全体の患者数や発症率ではなく、特定施設で発生した院内・医療関連アウトブレイクの症例数である。
したがって、米国EKCの全国疾病負担を17例から推定することはできない。
一方、この事例はEKCが医療機関内で短期間に伝播し得ること、感染対策が疫学的に非常に重要であることを示している。
国別セクションでは、米国の全医師受診の約1%が結膜炎関連であるとされる。
ただし、これもEKC単独ではなく「結膜炎全体」の医療受診負担である。
さらに、その中でウイルス性結膜炎、とくにアデノウイルスが65~90%を占めると説明されているが、ここでも「全結膜炎」「ウイルス性結膜炎」「アデノウイルス性結膜炎」「EKC」という異なる階層が混在している。
したがって、米国で全医師受診の1%がEKCによるという意味ではない。
この点は今回の資料における主要な疫学解釈上の注意点である。
日本では、Tetsuaya Mutoらの2023年報告として、年間約100万人がEKCに罹患するとされる。
今回の抜粋では、日本について最も具体的な全国規模の患者数が提示されている。
ただし、この約100万人が全国サーベイランスによる実測値なのか、推計値なのかは今回の資料では明確ではない。
そのため、日本のEKC年間患者数として提示されているものの、推計方法の詳細は確認できない。
また、年間100万人という数字は非常に大きく、北インドの病院ベース13.45%や米国の単一施設17例とは全く異なる指標である。
したがって、国別数値を単純比較することはできない。
北インドでは局地的アウトブレイク時に、眼科外来患者が1日35~50人、そのうち75~90%がEKCと診断されたとされる。
ここでも75~90%は一般人口有病率ではなく、「アウトブレイク時に特定眼科外来を受診した患者のうちEKCが占めた割合」である。
したがって、北インド地域住民の75~90%がEKCに罹患したという意味ではない。
この数値は、アウトブレイク時には眼科診療の大部分がEKC対応で占められるほど急激な患者集中が起こり得ることを示している。
また、同じ北インドに関して、先の病院ベース研究では13.45%、別の局地アウトブレイクでは75~90%という大きく異なる割合が示されている。
これは矛盾というより、対象患者集団と流行期が異なるためと考えるのが自然である。
平常時または広い病院患者集団の中での割合と、EKCアウトブレイク最盛期の眼科外来構成比は全く異なる。
ドイツ、フランス、イタリア、スペインについては、今回の抜粋では具体的なEKC患者数や発症率は示されていない。
英国もEKCそのものの国別有病率ではなく、呼吸器アデノウイルス陽性率が示されているだけである。
したがって、8主要市場を対象としたレポートではあるものの、この資料だけで全国規模のEKC負担を比較できるのは限定的である。
今回の資料を疫学的に整理すると、複数の種類の指標が混在している。
世界65~90%はウイルス性結膜炎中のアデノウイルス割合、北インド13.45%は病院受診患者中のEKC割合、英国1.7%・9.9%は呼吸器検体のアデノウイルス陽性率、ロサンゼルス17例は単一施設アウトブレイク症例数、米国1%は全医師受診中の結膜炎関連受診割合、日本100万人は年間EKC患者推計、北インド75~90%はアウトブレイク中の眼科外来患者に占めるEKC割合である。
これらは分母、疾患定義、観察期間がすべて異なるため、同じ「EKC有病率」として横並びに比較することはできない。
この点は今回のレポートを解釈するうえで最も重要な注意事項である。
治療については、EKCに対する確立した特異的抗ウイルス療法はないとされる。
そのため、治療の中心は症状緩和と感染拡大防止である。
症状緩和には潤滑点眼薬、冷罨法、局所抗炎症薬などが用いられる。
疼痛、異物感、乾燥感、炎症を和らげることが目的であり、これらはウイルスそのものを排除する治療ではない。
重症例では角膜病変の炎症を抑えるためにコルチコステロイド点眼が使用される場合がある。
ただし、資料でも「strict medical supervision」とされており、自己判断での使用を前提とするものではない。
治療よりも公衆衛生的に重要なのが感染対策である。
頻回の手洗い、コンタクトレンズ使用回避、汚染表面の消毒が推奨される。
特に眼科医療機関では、患者間で接触する検査機器や器具の厳格な消毒が重要となる。
ロサンゼルスのアウトブレイク事例は、器具消毒不十分や汚染点眼薬によって医療機関自体が感染拡大源になり得ることを示す。
したがって、EKCでは一人の患者を治療することと同じくらい、次の患者へ感染させないことが重要である。
コンタクトレンズも感染中は使用を避ける必要があるとされる。
また、タオルなど共用品を介した接触感染も起こり得るため、家庭や職場でも共有物への注意が必要となる。
多くの患者は2~3週間程度で回復するとされる。
ただし、一部患者では角膜病変によるかすみ目などの視覚障害が長期間残ることがある。
そのため、「自然軽快するウイルス性結膜炎だから治療不要」と一括するのではなく、角膜病変を伴う重症例では継続的な眼科フォローが重要である。
市場・医療負担の観点では、EKCは一患者あたりの治療期間が長期慢性疾患ほど長くない一方、感染力が強いため短期間に多数の患者が集中することが特徴である。
アウトブレイクが起きれば、地域の眼科外来需要が急増し、学校・職場での欠席や医療機関の感染対策負担も増える。
したがって、患者数の平時平均だけではなく、集団発生時のピーク負荷を考慮する必要がある。
2026~2035年の患者プールを左右する第一の要因は、アデノウイルスの持続的な地域循環である。
第二に、高い接触伝播性がある。
第三に、学校、家庭、医療機関など集団環境でアウトブレイクが起こりやすい。
第四に、感染対策が不十分な眼科施設では医療関連伝播が発生し得る。
一方、手指衛生、機器消毒、感染患者の適切な隔離・動線管理などを徹底すれば、アウトブレイク規模を大きく抑えられる可能性がある。
したがって、EKCの将来疾病負担は、患者個人の治療薬開発だけでなく、感染管理体制に強く左右される。
全体として本レポートは、EKCを「主としてヒトアデノウイルスによって引き起こされ、結膜と角膜に炎症を生じ、接触感染によって地域社会や医療機関で急速に集団発生し得る感染力の高いウイルス性眼疾患」と位置づけている。
アデノウイルスは世界のウイルス性結膜炎の約65~90%を占めるとされるが、この数字はEKCの一般人口有病率ではない。北インドでは病院受診者2,876人中387例、13.45%がEKCで、平均年齢30.69歳、年齢範囲3か月~71歳、男性70.8%、女性29.2%とされたが、これも特定病院・アウトブレイクにおける患者構成である。
英国のアデノウイルス陽性1.7%、5歳未満9.9%は呼吸器検体データであり、EKC有病率ではない。米国ロサンゼルスの17例は単一眼科施設のアウトブレイクであり、全国疫学値ではない。米国の全医師受診約1%という数字も結膜炎全体に関する指標で、EKC単独ではない。
一方、日本では年間約100万人がEKCに罹患するとされ、今回の資料では比較的大きな全国推計値が提示されている。北インドの局地的流行時には眼科外来1日35~50人のうち75~90%がEKCと診断されたとされ、流行時には医療需要が極端に集中する可能性が示される。
ただし、これらの数値は分母が大きく異なるため、同一の疫学指標として比較してはいけない。今回の資料には、ウイルス性結膜炎中の原因構成比、病院ベース有病割合、呼吸器アデノウイルス陽性率、アウトブレイク症例数、外来患者構成比、全国年間患者推計が混在している。この点が最も重要な解釈上の注意事項である。
治療では特異的抗ウイルス療法が確立しておらず、潤滑点眼、冷罨法、局所抗炎症治療などによる支持療法が中心となる。重症角膜病変では医師の厳密な管理下でステロイド点眼が検討される。多くは2~3週間で回復するが、視覚症状が長引く患者もいる。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、アデノウイルスの持続的循環と高い接触感染性によって一定の疾病負担が継続する一方、機器消毒、手指衛生、接触予防などの感染対策によって集団発生規模を大幅に抑えられる可能性がある。
したがって、今後のEKC管理における中心的課題は、単に感染患者の眼症状を治療するだけではなく、アデノウイルス性結膜炎と角膜病変を早期に認識し、家庭・学校・職場・眼科診療施設での接触感染を徹底的に防ぐことである。2026~2035年は、特異的抗ウイルス薬が限られる中で、早期診断、標準化された感染管理、医療機器消毒、患者教育によってアウトブレイクをどこまで抑制し、視覚障害と医療現場への急性負荷を軽減できるかが、臨床・公衆衛生・疫学・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
流行性角結膜炎市場概要(8主要市場)
3.1 流行性角結膜炎市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 流行性角結膜炎市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
流行性角結膜炎疫学概要(8主要市場)
4.1 流行性角結膜炎疫学状況(2019年~2025年)
4.2 流行性角結膜炎疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 流行性角結膜炎の種類
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
7.4 種類別の流行性角結膜炎患者数
7.5 性別別の流行性角結膜炎患者数
7.6 年齢別の流行性角結膜炎患者数
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の流行性角結膜炎患者数
8.4 米国における性別別の流行性角結膜炎患者数
8.5 米国における年齢別の流行性角結膜炎患者数
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の流行性角結膜炎患者数
9.4 英国における性別別の流行性角結膜炎患者数
9.5 英国における年齢別の流行性角結膜炎患者数
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の流行性角結膜炎患者数
10.4 ドイツにおける性別別の流行性角結膜炎患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の流行性角結膜炎患者数
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の流行性角結膜炎患者数
11.4 フランスにおける性別別の流行性角結膜炎患者数
11.5 フランスにおける年齢別の流行性角結膜炎患者数
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の流行性角結膜炎患者数
12.4 イタリアにおける性別別の流行性角結膜炎患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の流行性角結膜炎患者数
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の流行性角結膜炎患者数
13.4 スペインにおける性別別の流行性角結膜炎患者数
13.5 スペインにおける年齢別の流行性角結膜炎患者数
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の流行性角結膜炎患者数
14.4 日本における性別別の流行性角結膜炎患者数
14.5 日本における年齢別の流行性角結膜炎患者数
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける流行性角結膜炎の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の流行性角結膜炎患者数
15.4 インドにおける性別別の流行性角結膜炎患者数
15.5 インドにおける年齢別の流行性角結膜炎患者数
16
患者ジャーニー
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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