「学生の力を信じる」――島袋学長が描く、大阪信愛学院大学の未来

「あなたはどうしたいの?」から始まる、学生の可能性を拓く教育

2026-10-07 10:00
学校法人大阪信愛学院

2026年4月、大阪信愛学院大学の学長に就任した島袋香子氏。
看護師・助産師としての経験を経て、長年にわたり看護学の教育・研究に携わってきました。着任から約4カ月、前期を終えた節目に、島袋学長に大阪信愛学院大学への思いや、学生との向き合い方、これからめざす大学の姿について伺いました。

President's Profile

大阪信愛学院大学 学長/看護学部看護学科教授
島袋 香子  SHIMABUKURO Kyoko

【学位】
博士(看護学)

【専門分野】
母性看護学、助産学、ウイメンズヘルス看護学

【略歴】
2000年北里大学大学院看護学研究科博士課程修了。2008年北里大学看護学部教授、2014年同学部長、2020年同大学学長。2026年4月大阪信愛学院大学学長に就任。

「看護」という学問との出会い

Q. 学長は、なぜ看護の道に進まれたのでしょうか。

大学に保健学部という新しい学部ができたということで受験しましたが、当時は「保健学」というものがよくわからないまま入学しました。現在であれば健康や予防医療に関する学問だと認知されていますが、当時はまだその概念がなかったように思います。

大学では、3年生で看護師免許もしくは臨床検査技師免許のどちらかのコースを選択するようになっていましたが、2年生の基礎生理学の実習で顕微鏡を用いた検査がうまくできず、臨床検査技師は無理だと思い、看護コースを選択しました。

看護コースでは、看護師と保健師の免許取得が必須で、養護教諭資格は選択制、助産師資格は卒業を延期して単位を取得するというシステムでしたが、看護学を学んでいく中で興味が深まり、養護教諭資格に加え助産師のライセンスまで取得しました。

「このご縁に挑戦してみよう」と学長就任を決意

Q. 大阪信愛学院大学の学長に就任されたのは、どういった経緯からでしょうか。

これまで大学での勤務が長かったわけですが、18歳人口の減少や理系女子育成の促進という環境変化の中で、看護学を選択する学生が減っていくことを危惧していました。一方で、社会的には教員不足や保育士不足というような課題が叫ばれるようになってきました。

そういう中で声がかかったわけですが、開学して間もない大学であり、学生募集にも非常に苦戦している状況はわかっていましたので、果たして自分が引き受けてその職責を全うできるのだろうかと悩みました。その時に考えたのは、断ってしまうのか、それとも引き受けるのか、どちらを選択するほうが後悔するだろうか、ということです。熟慮した上で、このご縁をいただいたことに感謝して、挑戦することにしたのです。

関西への赴任については、そんなに高いハードルではありませんでした。むしろ、関西に住む機会もそうあることではなく、人生でよい経験になると思ったくらいです。

学生一人ひとりの「力」を信じる

Q. 学生と向き合う上で最も大切にされていることは何でしょうか。

最も大切なことは、学生の「力」を信じることです。見えない未来に向かって、人はどのように成長していくか、わからないものです。そういう意味で、無限の可能性を秘めています。その可能性を拓いていくのは学生一人ひとりの力ですが、まずは、学生自身が自分はどうなりたいのかという意思を持つことが必要です。

指導者としては、学生一人ひとりに向き合い、その学生が「どうしたいのか」を確認し、話し合いながら方向性を決めるようにすることだと思います。

学生に、「あなたはどうしたいの」と尋ねると、戸惑い、答えが出てこないことが多いものです。そして、「わからない」と答え、こちらに答えを求めてくる傾向にありますが、本当は、自分なりの答えを持っていないわけではありません。

学生が勇気をもって、自分の考えを、自ら出せるようにすることから始めることが重要だと思います。

「点数よりも、大切なこと。」を掲げる学院だからこそ

Q. 大阪信愛学院大学の特徴と今後の展望についてお聞かせください。

大阪信愛学院は、「点数よりも、大切なこと。」というメッセージを堂々と掲げることのできる、信念のある学院だと思います。それは、何よりも「人間力」の育成に重きを置いているという証だと感じています。その大きな特徴は、140余年の歴史を有し、認定こども園から大学までを同じキャンパスに擁しているところにあります。

大学としては卒業生を輩出したばかりですが、60年の歴史があった短期大学時代の卒業生は一万三千人に上ります。学院として大阪の地域に根づいており、信愛を愛するファンもたくさんおられます。地域との連携ということでは、しんあい教育研究ケアセンターを中心に、地域での健康相談やイベントへの参加等の地域活動を積極的に行っています。これからも地域との連携を大切にしながら、社会を支える人材を育てる大学として認知され、「あそこで学びたい」と思われるような大学になりたいものです。

予測できない未来を生きるために必要な「人間力」

Q. 先行きが予測しにくいこれからの時代に求められる人材についてお聞かせください。

これからの時代に重要なのは、柔軟な思考力であり、創造力であり、協働力だと言われています。高等教育行政においては、「学生がどのような力を身に付けることができたか」を学びの指標に置くように言われています。

情報社会が進展し、AI時代となって、これまで以上に新しい技術や知識の習得に重きが置かれがちです。もちろん、時代に適応する知識の習得は必要ですが、予測が困難な時代にあって大事なのは、予測不可能な事態に遭遇しても対応できる力だと思います。

人間力の柱は、凹んでも立ち直る心の強さであり、信じ合える仲間を獲得する力であり、失敗を恐れず挑戦する力だと思います。自分を愛し、他者を愛するという本学の建学の精神は、時代を生き抜くための理に適った考えであると思います。

「信愛」の心を次の世代へ

Q. 学長が思い描く大阪信愛学院大学の未来像についてお聞かせください。

教育学も看護学も人を対象にする学問です。どちらの分野も人材育成が重要です。「信愛」の建学の精神が、認定こども園時代から培われ、小学校、中学校、高等学校へと引き継がれ、大学まで進学し、信愛の心を伝える教師や看護師、企業で活躍する人となり、そういう卒業生が次の世代を育てていくというような循環が生まれる教育が実践できるようになりたいと思います。

Q. 学長にとって、大阪信愛学院大学を一言で表すとしたら、どのような言葉になりますか。

カトリック系ミッションスクールにふさわしい「信愛」という言葉を大学の名称に入れています。「一つの心、一つの魂」という創立者の言葉がありますが、これは、人を信じることを示しています。大阪信愛学院大学の教育は、学生の力を信じ、学生が自分で道を見つけるまで一緒に歩む教育です。140余年の歴史により培ったゆるぎない信念を持つ大学だと思います。

「安心して、自分の道を切り開くための学びにチャレンジしてほしい」

Q. 最後に、高校生や保護者の皆様、卒業生、地域の皆様へのメッセージをお願いします。

予測不可能な時代、先が見えないと不安になると思いますが、不安で留まっているより、先に歩むことで答えが見つかることもあります。学生と教員が一緒に歩むことを基本としていますので、安心して自分の道を切り開くための学びにチャレンジしてください。

関連リンク

https://www.osgu.ac.jp/

大阪信愛学院 概要

法人名:学校法人大阪信愛学院(理事長:岩熊美奈子)
所在地:大阪府大阪市城東区古市2丁目7番30号
設立:1884年(大阪市西区川口町に信愛女学校を開設)
設置校:大阪信愛学院大学(教育学部/看護学部)
    大阪信愛学院高等学校
    大阪信愛学院中学校
    大阪信愛学院小学校
    幼保連携型認定こども園 大阪信愛学院幼稚園
在籍者数:1,923名(2026年5月1日現在)

https://www.osaka-shinai.ac.jp/