GSアライアンスが、グリーンケミストリーにも使われる、 天然深共晶溶媒(NADES:Natural Deep Eutectic Solvents)を 用いた美容液を開発

2026-10-28 10:30
GSアライアンス株式会社

GSアライアンス株式会社は、天然深共晶溶媒(NADES:Natural Deep Eutectic Solvents)を用いた美容液を開発しました。同社のインターネットの販売サイトなどで2026年11月2日から販売予定です。

https://www.nano-sakura-shop.com/

グリーンケミストリー溶媒でもあるNADES(天然深共晶溶媒)を用いた美容液

グリーンケミストリー溶媒でもあるNADES(天然深共晶溶媒)を用いた美容液

同社は、以前からNADESを研究開発しており、ある種のNADESの製品を美容液に応用しました。

近年は、化粧品および皮膚科学化粧品業界において、グリーンケミストリーの理念や、クリーンビューティーに対する消費者意識の高まりを背景に、大きな変革が起きています。化粧品分野におけるグリーンケミストリーは、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑える方法や原料を用いて、製品の設計および製造を行うことと定義されています。これは、例えば毒性のある石油由来の揮発性有機溶媒の代わりに天然物質を使用することで、その使用量を削減する技術です。また、再生可能および生分解性原料の使用、製造工程における廃棄物の最小化、添加剤の使用削減、そして製造プロセス全体における水とエネルギーの消費量削減などの項目もグリーンケミストリーの概念に含まれます。

従来のスキンケア、化粧品処方では、有効成分の安定性を高め、肌への浸透、使用感を最適化するために、合成グリコールや石油由来の浸透剤、強力な化学防腐剤が多用されています。しかし、これらの成分は、カーボンフットプリント(炭素排出量)の多さや毒性が原因で、近年ますます問題視されるようになっています。その結果、多機能でバイオ由来、かつ環境に配慮した持続可能な溶媒の開発が、現代の化粧品工学における最先端の主要テーマとなっています。

溶媒は、化粧品に使用されるさまざまな成分を同時に配合することを可能にするため、ほとんどの化粧品処方の基盤となっています。溶媒は、有効成分が皮膚バリアを通過する際の速度や輸送効率をコントロールする重要な要素でもあり、成分を肌の奥深く(真皮など)まで届ける役割もあり、それによって製剤の効果(生体内利用率)を直接高めることもできます。しかしながら、これらの溶媒には石油由来のものも多く、生物に有害な化学物質としての性質があるものも存在するため、人々の健康や地球環境に対してリスクがあります。発がん性や変異原性リスクのある物質への法規制強化を受け、化粧品業界では代替成分への移行が急務となっています。

よって、最近はバイオベースの溶媒や天然深共晶溶媒(NADES:Natural Deep Eutectic Solvents)が、化粧品業界から大きな注目を集めています。

(天然)深共晶溶媒(NADES/DES)とは、近年、化粧品分野において難溶性成分の溶解や高機能保湿、低刺激な角質ケアなどの用途で次世代のグリーン溶媒として注目されています。水素結合ドナー性の化合物と水素結合アクセプター性の化合物から合成される、室温で液体になる化合物で、主に以下のような特徴を持ちます。

  1. バイオ活性が高く、肌に有益であっても、水や油(通常の溶媒)には溶けにくい成分(難溶性成分)の場合、NADESは、親水性であっても疎水性であっても安定かつ高濃度に溶かすことができます。
  1. 石油由来の毒性のある有機溶媒を使用しなくても、有用成分(抗酸化剤、フラボノイド、カロテノイド、ポリフェノールなど)を植物や藻類などのバイオマスから、効率的かつ環境負荷を抑えて抽出するグリーン溶媒として利用されています。
  1. エタノール、アルコールのように蒸発しないので、揮発性ではないNADESは、クリームやゲル状の化粧品の中で有効成分として残ることができます。
  1. 有効成分が皮膚バリアを通過する際の速度や輸送効率を制御し、有効成分を肌の奥深く(真皮など)まで届けることができます。
  1. 天然の保湿剤、保水剤として機能し、アスコルビン酸(ビタミンC)のような繊細で肌に有効な活性物質を溶解し、安定化させることができます。
  1. 高分子に匹敵するような長時間の機能維持と、べたつきのない良好な使用感を両立する増粘保湿剤として応用できます。

今回開発したGSアライアンス社製の美容液は、同社のNADESを含有させることにより、主に保湿効果の向上や、べたつきのない良好な使用感を持たせた美容液です。今後は、植物、バイオマス由来の有効成分を含有させた美容液なども開発していく予定です。

■深共晶溶媒(DES:Deep Eutectic Solvents)とは
深共晶溶媒(DES:Deep Eutectic Solvents)とは、イオン液体と類似した性能を持つ新しいタイプの溶媒です。ルイス酸またはブレンステッド酸と塩基の共晶混合物から形成される系であり、さまざまな陰イオン種、または陽イオン種から構成されます。水素結合ドナー性の化合物と水素結合アクセプター性の化合物を原料として用いることにより合成できる、室温で液体になる化合物です。2つ、または複数の化合物を用いて合成することにより、個々の成分のいずれよりも低い融点を持つ共晶を得ることができます。合成された深共晶溶媒は蒸気圧が低く、難燃性であり、熱安定性および電気化学的安定性が高い(電位窓が広い)などの特徴があります。一方で、イオン液体より、概して値段が安い、無害な場合が多いことも大きな利点です。

■天然深共晶溶媒(NADES:Natural Deep Eutectic Solvents)とは
天然成分から作られる深共晶溶媒を特に天然深共晶溶媒(NADES:Natural Deep Eutectic Solvents)と言い、より毒性が低く環境に優しい溶媒となっています。原料としては、アミノ酸、有機酸、糖類、コリンなどの天然由来成分が用いられる場合が多く、融点が大幅に下がり、室温で液体にした、環境調和型のグリーンケミストリーに応用できるグリーン溶媒です。

NADESの応用例としては電池用電解液、有機合成用溶媒、ガス吸着、セルロース、リグニンなどの溶解、可塑剤、バイオ燃料の精製、レアアース、レアメタルなどの金属抽出、カテキン、カフェイン、フラボノイド、パルマチン、エフェドリンのようなアルカロイドなどの各種の植物由来物質の抽出、溶解効果などを応用した、本件の化粧品への応用などがあります。

会社概要

商号     : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者    : 代表取締役 森 良平博士(工学)
本社所在地  : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容   : 脱炭素課題に取り組む環境、エネルギー分野の最先端技術の
         研究開発。UNIDO、WIPO GREENなど各種国連機関から
         助成金などの支援を受けています。
支社/合弁会社: 東京都港区、Biel/Bienne(ベルン州、スイス)、
         Toronto(オンタリオ州、カナダ)、Mexico City(メキシコ)、
         Massachusetts州(アメリカ)
URL      : https://www.gsalliance.co.jp/