日本の6G市場2026~2035年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本の6G市場2026~2035年、英文タイトル:Japan 6G Market Research 2026-2035」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本の6G市場は、2025年に3億9,000万米ドル規模で、2035年には48億2,000万米ドルへ拡大すると予測されている。2026~2035年の年平均成長率(CAGR)は28.76%と非常に高く、日本では6Gが単なる5Gの次世代通信規格ではなく、2030年代の社会・産業インフラを支える国家的な基盤技術として位置づけられている。6Gは、有線・無線、地上・海上・空中・宇宙のネットワークを統合し、スマートシティ、モビリティ、ロボティクス、医療、製造、没入型デジタルサービスなどを支える高度な通信基盤になることが期待されている。
2026年の市場規模は5億米ドルに再計算されており、Beyond 5G関連インフラや実証実験への初期投資が本格化している段階とされる。2035年には48億2,000万米ドルへ拡大し、無線通信インフラが35%超で最大セグメントになると予測されている。背景には、スマートデバイス、IoT、自動運転、ロボティクスなど、大量・高密度・低遅延通信を必要とする用途の増加がある。
日本の6G戦略で重要なのは、投資のタイミングである。2026~2030年は、いきなり6Gへ全面移行する期間ではなく、5G、エッジコンピューティング、クラウド、IoT、プライベートネットワークを高度化しながら、将来の6G導入に向けて標準化、実証、設備投資を進める準備期間と位置づけられている。企業にとっては、まず5Gエッジ基盤を強化し、その後AIネイティブなネットワーク管理、6G対応端末・インフラ・アプリケーションへ段階的に移行する形が現実的とされる。
6G市場の成長を支える最大の要因の一つは、超高速・超低遅延・高信頼通信への需要である。ロボティクス、自動車、精密製造、スマートシティ、遠隔医療、ゲーム、教育、クラウドサービスなどでは、リアルタイムで大量のデータをやり取りする必要があり、現行ネットワークより高性能な通信基盤が求められる。
スマートシティでは、自動運転車、監視システム、IoTセンサー、公共インフラなどをリアルタイムで連携させる必要がある。東京や横浜のスマートシティ施策は、6Gの代表的な導入候補とされている。特に、道路交通、公共安全、エネルギー管理、災害対応、行政サービスなど、多数のデバイスを同時接続しながら遅延を最小化する用途で6Gの価値が高まる。
医療分野でも、6Gは重要なインフラになる可能性がある。遠隔患者モニタリングやロボット手術では、通信遅延や接続切断が重大なリスクとなるため、安定した超低遅延ネットワークが不可欠である。将来的には、リアルタイムの生体データ伝送、遠隔診療、高精細医療画像の共有、ロボット支援手術などが6G活用の主要なユースケースになると考えられる。
また、日本の6G戦略ではサステナビリティが非常に重要な設計要件とされている。通信トラフィックが100倍に増える場合、現在と同じ経済性を維持するためには、1ビット当たりの設備投資・運用コストを100分の1未満に抑える必要があるという考え方が示されている。単に通信速度を上げるだけでなく、電力消費と運用コストを大幅に低減することが6Gの実用化条件となる。
端末側でも、省電力化や無線給電技術の重要性が高まる。将来的にウェアラブル機器、環境センサー、サイバーフィジカルシステムなどが大量に普及すれば、一つひとつの端末を頻繁に充電することは現実的ではない。そのため、極低消費電力デバイスや無線給電によって、充電頻度を減らす、あるいは充電そのものを不要にする技術が6Gエコシステムにとって重要になる。
技術面では、テラヘルツ通信、再構成可能インテリジェントサーフェス(RIS)、量子通信、AIネイティブネットワーク、非地上系ネットワーク(NTN)が重要な要素として挙げられている。これらの技術によって、通信速度、カバレッジ、ネットワーク効率、信頼性を大幅に向上させることが期待されている。
テラヘルツ通信は、非常に高い周波数帯を利用することで超高速通信を実現する技術である。一方、高周波ほど電波が遮蔽物の影響を受けやすく、到達距離も短くなるため、単純に高周波を使用するだけでは都市部で安定した通信を実現できない。そのため、RISやMassive MIMOなどを組み合わせ、電波の進行方向や反射を制御する技術が重要になる。
RISは、壁面などに設置した特殊な表面によって電波の反射方向を制御し、電波が届きにくい場所へ信号を誘導する技術である。高層ビルや狭い都市空間が多い日本では、こうした技術によって6Gの高周波通信を補完することが重要になる可能性がある。
Massive MIMOは、多数のアンテナ素子を利用して複数ユーザーへ同時に通信する技術であり、高密度都市部や工場など多数の端末が集中する環境で重要である。6Gではさらに高度化したMIMOやAIによるビーム制御が利用され、スペクトル効率とカバレッジの向上が期待されている。
AIネイティブネットワークも6Gの中心技術となる。従来の通信ネットワークでは、AIは主として最適化や運用支援に利用されてきたが、6GではネットワークそのものをAI前提で設計し、トラフィック、周波数、基地局リソース、電力消費などをリアルタイムで自動最適化する方向が想定されている。
これにより、ネットワーク需要が急増しても、人手だけで設定・管理する必要がなくなり、通信品質やエネルギー効率を動的に調整できるようになる。特に工場、自動運転、スマートシティなど、通信環境が秒単位で変化する分野ではAIによるリアルタイム制御が重要になる。
非地上系ネットワーク(NTN)も日本の6G戦略では重要である。6Gは地上基地局だけでなく、衛星、高高度プラットフォーム、航空機などを統合し、海上、山間部、離島、災害地域などでも通信を維持することを目指している。災害が多く、離島や山岳地域を持つ日本にとって、地上ネットワークと衛星ネットワークの統合は重要な社会インフラ価値を持つ。
スマートシティの調達ニーズとしては、交通安全、都市監視、エネルギー効率、災害対応、高齢者支援、デジタル公共サービスなどが挙げられている。自治体やインフラ事業者は、6Gそのものの通信速度よりも、遅延がどれだけ減るか、同時接続数がどれだけ増えるか、緊急対応がどれだけ改善するか、IoT基盤とどれだけ統合しやすいかという実用的な成果を重視すると考えられる。
相互運用性も6G普及の重要な条件である。6Gは地上ネットワーク、衛星、エッジ、センサー、端末、企業アプリケーションなど多数の異なるシステムを統合する必要があるため、標準規格が十分に整備されなければ、メーカーごとに互換性のない閉じたネットワークが生じる恐れがある。
このため、通信事業者、端末メーカー、半導体企業、ネットワーク装置メーカー、政府・規制当局が共同で標準化を進める必要がある。標準化への関与は単なる技術問題ではなく、どの企業の技術が世界標準に採用されるかという産業競争にも直結する。
価格と普及速度は、周波数政策、インフラ費用、端末の成熟度、企業需要、エネルギー効率などによって左右される。初期導入は一般消費者向け全国サービスよりも、スマートシティ、産業自動化、自動車試験、医療ネットワーク、エンターテインメントなど、6G導入による経済価値が明確な分野から進む可能性が高い。
普及の障壁としては、高周波利用への健康不安、インフラコスト、技術成熟度、端末エコシステムの未整備、標準化の不確実性などが挙げられている。このため、企業は一気に全面導入するより、実証実験、プライベートネットワーク、限定地域での導入を通じて効果を確認したうえで本格展開する可能性が高い。
市場セグメントでは、通信インフラのうち無線インフラが35%超で最大になると予測されている。6G無線ネットワークは、スマートデバイス、IoT、自動運転車、ドローン、ロボット、クラウドゲーム、AR、VR、XRなどを支える。高密度な端末接続と超低遅延が必要な用途ほど、無線6Gの価値が高い。
アプリケーション別では、スマートシティ、自律型モビリティ、産業自動化、遠隔医療、没入型エンターテインメント、教育、公共安全、サイバーフィジカルシステムなどが主要用途とされている。特に経済効果や安全性改善を明確に示せる用途から商用化が進むと予想される。
エンドユーザーには、通信事業者、スマートシティ運営主体、自動車メーカー、医療機関、製造企業、エンターテインメント企業、公共安全機関、テクノロジー企業などが含まれる。初期段階では一般消費者よりも、政府・自治体や大企業が実証・調達を主導する可能性が高い。
地域別では、東京都市圏が主要な導入クラスターになると予測されている。東京は人口密度、通信需要、先進インフラ、スマートシティ政策のすべてが集中しており、モビリティ、公共安全、高密度通信、医療、商業デジタルサービスなどで6Gへの需要が見込まれる。
関西やその他の産業集積地域では、ロボティクス、工場自動化、精密製造、プライベートネットワークへの活用が中心になると考えられる。工場では機械同士がミリ秒単位で連携する必要があり、低遅延、高信頼、多数接続、エッジ・クラウド連携といった6Gの特性が生産性向上につながる。
競争環境では、NTT DoCoMo、Nokia、Ericsson、Huawei、Samsung、LG、Qualcomm、AT&T、Orange、Appleなどが主要企業として挙げられている。国内企業だけでなく、ネットワーク装置、端末、半導体、通信サービスのグローバル企業が参加していることから、日本の6G市場は国内技術だけで完結するのではなく、国際的なエコシステムとして形成される可能性が高い。
NTT DoCoMoは、日本国内の6G技術開発、実証、通信インフラ、標準化連携の中心的存在として位置づけられている。NokiaとEricssonはネットワークインフラや高度無線技術、Samsung、LG、Appleは端末エコシステム、Qualcommはチップセットや無線技術の面で重要な役割を持つ。
企業の競争戦略としては、AIネイティブネットワーク、テラヘルツ通信、非地上系ネットワーク、エネルギー効率、端末の準備度、相互運用性が主要テーマとなる。6Gでは通信事業者だけで市場を作ることは難しく、端末、半導体、クラウド、AI、衛星、製造業などとの連携が不可欠になる。
2024年には、NTT DOCOMO、NTT、Nokia、SK Telecomが4.8GHz帯を利用し、AIによって電波を強化する日本初の屋内6G無線試験を実施したとされる。これは、6GでAIがネットワーク運用の補助技術ではなく、無線通信そのものの性能改善に組み込まれていく方向性を示している。
公共・民間共同投資も市場形成に不可欠である。6Gには通信インフラ、研究開発、周波数政策、スマートシティ実証、端末エコシステム、大学・産業連携など多額の先行投資が必要となるため、政府が初期リスクを軽減し、民間企業が技術と商用化能力を提供する形が重要になる。
具体的には、スマートシティ実証、通信会社主導のインフラ試験、大学との共同研究、企業向けプライベートネットワーク、海外ベンダーとの国際協力などが有望な投資モデルとされている。初期段階では収益が明確でなくても、こうした実証を通じて標準技術や商用モデルを確立することが、中長期の市場シェアに影響する。
2026年5月にはNTT DOCOMO、NEC、NTTが、高速移動する複数車両向けに安定した大容量ミリ波通信を実証したとされる。分散MIMOと高度信号処理を組み合わせ、通信信頼性を高めることで、自動運転、スマートモビリティ、車内没入型サービスなどへの応用を想定している。
同じく2026年5月にはNTT DoCoMoが、AIネイティブ無線ネットワーク、ISAC(通信とセンシングの統合)、超低遅延技術の研究を拡大し、産学連携による国際標準化を強化したとされる。ISACは、通信ネットワークを単にデータ伝送に使うだけでなく、周囲の物体や位置をセンシングする機能まで統合する考え方で、自動運転やロボティクスへの応用が期待される。
SamsungはAI駆動型RAN、高度ビームフォーミング、省エネルギー無線インフラ、NokiaはAIネイティブネットワークやクラウドネイティブ基盤、地上・非地上ネットワーク統合、Ericssonは高度なネットワーク自動化やプログラマブル無線技術を開発している。各社とも6Gを単純な高速通信競争ではなく、AI・クラウド・省電力化を統合したネットワークプラットフォームとして捉えている。
Qualcommは次世代モデム、AI対応接続、無線プラットフォームを強化し、LGはテラヘルツ伝送、高度アンテナ、AI通信を研究している。HuaweiもAIによるネットワーク管理、超高速通信、センシング統合を進めている。6Gではネットワークインフラだけでなく、端末チップ、アンテナ、AI処理能力が性能を左右するため、半導体・端末企業の重要性がさらに高まる。
総じて、日本の6G市場は2025年の3億9,000万米ドルから2035年には48億2,000万米ドルへ12倍以上に拡大する高成長市場であり、CAGR28.76%という予測は、6Gが通信業界だけでなく、製造、自動車、都市インフラ、医療、公共安全、エンターテインメントなど多数の産業へ波及することを反映している。
ただし、6Gの普及はスマートフォンの通信規格が5Gから6Gへ単純に置き換わる形では進まないと考えられる。初期段階では、スマート工場、自動運転、遠隔医療、スマートシティなど、低遅延や大量接続による経済価値が明確なB2B・公共用途から導入され、その後一般消費者向け端末へ広がる可能性が高い。
今後の市場競争では、通信速度だけでなく、「AIによる自律運用」「エネルギー効率」「5Gとの互換性」「衛星を含む広域カバレッジ」「セキュリティ」「端末コスト」「国際標準への適合」が重要になる。また、トラフィックが100倍になってもネットワーク経済性を維持できるよう、1ビット当たりの設備・運用コストを大幅に低減できるかが商用化の重要な条件となる。
日本の6G市場で長期的に優位に立つ企業は、単一の通信機器や端末を提供する企業ではなく、AI、無線、エッジ、クラウド、半導体、NTN、スマートシティ、産業システムを相互接続できる企業になる可能性が高い。特に2026~2030年は、標準化と実証、5Gからの段階的移行、公共・民間投資の方向性が固まる重要な時期であり、この期間に技術・パートナーシップ・導入実績を確保できる企業が、2030年代の日本6G市場で大きな競争力を持つと考えられる。
※目次構成
- 調査方法および調査範囲
調査方法
調査目的およびレポートの対象範囲 - 定義および概要
- エグゼクティブサマリー
デバイス別市場概要
通信インフラ別市場概要
用途別市場概要
エンドユーザー別市場概要 - 市場動向
市場への影響要因
成長要因
サステナビリティへの注力
超高速通信に対する需要の拡大
阻害要因
人体への健康影響に対する懸念
市場機会
影響分析 - 業界分析
ポーターの5フォース分析
価格分析
規制分析
技術トレンド
ブランドシェア分析
特許分析
SWOT分析
ケーススタディ分析
投資動向分析
消費者分析
経済的影響分析
DMI見解 - デバイス別
はじめに
デバイス別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
デバイス別市場魅力度指数
モバイルデバイス*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
IoT・エッジコンピューティングデバイス
その他 - 通信インフラ別
はじめに
通信インフラ別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
通信インフラ別市場魅力度指数
固定通信*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
無線通信 - 用途別
はじめに
用途別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
用途別市場魅力度指数
通信*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
液体
ヘルスケア
製造業
自動車
エネルギー
防衛・航空宇宙
小売
エンターテインメント
農業
教育
その他 - エンドユーザー別
はじめに
エンドユーザー別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
エンドユーザー別市場魅力度指数
一般消費者*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
企業(中小企業・大企業)
政府・公共部門
産業部門 - サステナビリティ分析
環境面の分析
経済面の分析
ガバナンス分析 - 競争環境
競争状況
市場ポジショニング/市場シェア分析
M&A(合併・買収)分析 - 企業プロファイル
12.1 NTT DOCOMO*
企業概要
製品・サービスのポートフォリオおよび概要
財務概要
主な動向
12.2 その他の主要企業
Nokia
Ericsson
Huawei
Samsung
LG
Qualcomm
AT&T
Orange
Apple Inc.
※企業一覧は網羅的なものではありません。
- 付録
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